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2022.09.26

秋の訪れを感じる一品。色んな種類の“雑きのこ”と根菜を煮込んでつくる、きのこ汁。

森と暮らしがこれからもずっと続いていくために。森の恵みのレシピや持続可能な社会をつくっていくために知っておきたいことをまとめた小さなweb事典です。

9月も下旬に入り、秋の訪れを感じる季節がやってきました。
連日の雨の影響で、すでに山には雑キノコが出ているとのこと。(雑キノコとは山に生えているキノコの総称です。)

秋になると、キノコ採りに行きたくてウズウズすると話す経木職人の酒井さん。今年も早々に、酒井さんが、キノコのお裾分けをたくさん持ってきてくれました。今回は、アミタケ、ショウゲンジ、アカヤマドリダケの3種類。

手前の大きいキノコがアカヤマドリ

アミタケやショウゲンジは山のキノコの代表格。キノコ汁にするとほんのり漂う風味と歯ごたえが相まって、とっても美味しいきのこです。

アカヤマドリタケは珍しいキノコ。酒井さん曰く、みんな毒キノコと思って採らないけど、香りが良くてイタリアではペペロンチーノなどに入れて親しまれているそう。

アカヤマドリダケは今回、茹でて下処理をしてからおひたしにします。
早速、キノコの下処理から始めました。

左がアミタケ、右がショウゲンジ

アミタケについて

イグチ科。夏の終わりから秋にかけて、松林に生えます。茶褐色のキノコですが、茹でると赤紫色に変色します。アミタケの名前の由来は、笠の裏側が網のような形をしていることから来ているそう。

ショウゲンジについて

フウセンタケ科。夏の終わりから秋にかけて、広葉樹・針葉樹両方の林で広く生えます。ショウゲンジを漢字で書くと正源寺(または性賢寺)。江戸時代の1835年に坂本浩然により記された「菌譜」に『性賢寺の僧がこれを初めて食し、このキノコが食用になることが知られるようになった』という内容のことが書かれています。
「深い編笠をかぶり、尺八を吹きながら歩く虚無僧のように見える」ことから、伊那では”コムソウ”とも呼びます。地域によって様々な方言名があるのも特徴。

アカヤマドリダケについて

イグチ科。梅雨明け頃から秋に、コナラやクヌギなどブナ科広葉樹林内に生えます。大きさが大きいのが特徴で、森の中でもかなり存在感があります。漢字で書くと赤山鳥、大きな傘の表面が山鳥の羽に似ていることからその呼び名がついたそう。

キノコの下処理

(1)アミタケとショウゲンジは、沸騰したお湯に入れてしばらく茹でます。
ポイント : 茹でる前に洗って落ち葉などを落とそうとすると、キノコが崩れてしまうので洗わずに茹でます。茹でてから落ち葉などを取ると、キノコも崩れずにきれいに汚れを落とすことができます。

(2)茹でたらざるにあけ、流水で落ち葉や砂を落とします。

アミタケの色が赤紫色に変わりました

(3)アカヤマドリダケも同じように沸騰したお湯に入れてしばらく茹でます。
ポイント : 大きいキノコなので様子を見ながら長めに茹でました。ゆで汁が鮮やかな黄色になり、良いかおりがします。

(4)ザルにあけ、水にさらします。手で触れられる温度になったら、笠の裏と表面を水の中で取り外していきます。
ポイント : 笠の裏はスルッときれいに取れましたが、表側がなかなか取りにくかったです。あまり神経質にならず、取れる範囲で大丈夫だと酒井さんからアドバイスをもらいました。

下処理をしたキノコを料理上手なスタッフが持ち帰り、キノコ汁とお浸しにして翌日のお昼に持って来てくれました。

(※キノコ汁の作り方は、とっても簡単。豚汁をつくる手順で、最後の仕上げにキノコを入れてひと煮立ちさせたら出来上がり。下処理をしたキノコはそのままおひたしにしたり、キノコ汁を作ったりと色々と応用が効いて便利です。)

アミタケとショウゲンジのほかに、大根や人参、ジャガイモ、ネギなどたっぷりの根菜とこんにゃくと豚肉が入った具沢山のキノコ汁。味噌は、農と森事業部が育てた大豆を使って昨年仕込んだものを使いました。

アカヤマドリダケは辛み大根を乗せてお醤油でさっぱりと。
この日は急に寒さが厳しくなりましたが、あたたかなキノコ汁をお腹いっぱい食べて心も体もポカポカになりました。

キノコを採って来てくれた酒井さん、調理してくれたスタッフ、味噌の大豆を育ててくれた農と森事業部、1年前に味噌の仕込みをしたスタッフ。多くのやまとわスタッフが関わってできあがったキノコ汁は、格別な味がしました。ご馳走様でした。

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