森と暮らしがこれからもずっと続いていくために。森の恵みのレシピや持続可能な社会をつくっていくために知っておきたいことをまとめた小さなweb事典です。
FSCとはForest Stewardship Councilの略称で、世界最大の森林認証システムのことです。
1992年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された地球サミットをきっかけに、WWF(世界自然保護基金)などの環境団体や林業者、木材取引企業、先住民団体などによって組織された非営利の国際団体として、1994年にFSCが正式に発足しました。
FSCには、森林の管理を認証するFM(Forest Management)認証と加工流通過程の管理を認証するCoC(Chain of Custby)認証のふたつがあり、ふたつの認証のつながりによって成り立っています。FSC認証製品が消費者の手に届くには、森林から最終製品になるまで、生産、加工、流通全てに関わるすべての組織がFSC認証を受けなくてはなりません。
FSC認証を受けるには世界共通の規格(10原則70基準)に沿っているかどうか、厳しい審査が行われます。
この基準は、“森を守ること”だけに留まらず、労働者や先住民の権利、地域社会の関係や文化なども広い視野に基づいていることが特徴であり、加えて認証を行う機関がFSCではなく第三機関によって行われていることも公正で信頼性の高い認証制度として世界的にも大きく評価されているポイントになります。
またFSC認証マークに記されているライセンス番号を、FSC webサイトの認証取得者検索画面で入力すると、認証者の名前や認証取得時期などを知ることが出来ます。(FSCジャパン)
2018年7月には、イオンやマクドナルドなど大手7企業が紙製品のFSC認証材調達を共同宣言したことが大きな話題となり、FSC認証が私たちの暮らしと身近になりました。(目印は木のマーク。毎日の暮らしを通じて森を守ろう。スタバ、イケアら7社が共同宣言)
現在、私たちの日常ではFSC認証マークがついた商品を見かけることも多く、木材よりもティッシュペーパーや飲料の紙パック、ノートや紙袋といった紙製品の方が多く出回っています。2022年のお年玉付き年賀はがきには、初めてFSC認証紙が使用されました。(日本郵便株式会社「年賀はがき」FSC応援プロジェクト)
現在の日本は国土の7割が森林でありながら、木材や紙を輸入に頼り海外の森林に依存しています。FSC認証制度だけでは日本の林業の問題が解決できないことは課題ではありますが、日常生活で利用するものがどこからどのように来ているのか知ろうとするきっかけになります。
紙製品をよく利用する私たち日本人。日用品を購入する際、FSCマークを見つけてその商品を選んでみませんか?その選択が世界の森林を守ることにつながります。