森と暮らしがこれからもずっと続いていくために。森の恵みのレシピや持続可能な社会をつくっていくために知っておきたいことをまとめた小さなweb事典です。
自律分散型社会とは、一極集中を避け、小さな単位で自律した社会のことをいいます。
戦後の日本は、行政の中心や、多くの企業などを一か所に集中させてひとつの中心を作ることで様々なことの効率化を図り、そこで作ったモノやサービスを地方に分配することで大きく復興、発展してきました。
しかしながら、一極集中には問題もあることが分かってきました。
例えば、電力。大きな発電所で発電して広い範囲へ送電していると、災害等が起こった際には広範囲の人々の暮らしに大きな影響が出ます。
多くの離島が本土から海底ケーブルや架空電線を使って電気供給を受けていますが、鹿児島県 屋久島では、昭和35年から島内で利用する電力を完全に自給しています。(99%が水力、残りの1%は点検などのために水力発電を止める時に補う形で火力発電を行う)
また、発電は主に屋久島電工が行いますが、地域別に4つの配電組合がありそれぞれが電力を利用者に届けています。発電と配電の両方を大きな一つの会社が受け持つのではなく、発電と配電が完全に分かれている点もとても珍しいです。(参考/自然エネルギー100%!電気事業者ではない「屋久島電工」から見える、電力会社に依存しない暮らし方)
送電線の整備や設備の修復など大変な面もありますが、屋久島で発電することは地域の雇用にもつながっています。
地域内循環を高めることによって新しい雇用を生み、結果として人口流出を防ぐこともできる。地域内でお金を循環させることも、自律分散型社会の大切なポイントといえるでしょう。
伊那市では5年ほど前、大雪が降ったことで高速道路が広い区間で通行止めになり、国道が渋滞するなどして物流に大きな影響が出たことがありました。
そんな時に60年続く老舗のパン屋さんで、いつもの何倍も食パンが売れていくのを目の当たりにしました。大きなスーパーでは食パンが商品棚に並びませんでしたが、毎朝生地を仕込んで焼きたてを提供している小さなパン屋さんには食パンが沢山あったのです。
小さな単位でそれぞれの地域が自律すること。
地域の活性化とリスクを分散することは、わたしたちの暮らしを守ることに直結しています。