上伊那農業高校 里山コースの2年生の皆さんと一緒に、経木を使ってランプをつくる授業を行いました。木を収穫するところから、デザインを考える工程、製作まで、全て自分たちで考えて実践していく、教科書のない授業。今回は、その授業の様子を簡単に振り返りたいと思います。
1.収穫したアカマツをその日の内に経木に加工
まずはじめは、森の中でアカマツを伐採するところから。里山コースの皆さんは、林業についても勉強しています。なので、何で木を伐るのか、どうやって伐るのか等、専門的なお話も詳しくさせていただきました。
木を伐ったら、その木を持ってやまとわの36officeへ。先ほど伐った木を、職人が手際よく経木に加工していきます。木が紙のように次々と削られていく様子に、生徒たちも興味津々。削りたての経木を、その場できれいに整えてもらいました。「いい香りがする!」という声がたくさん聞こえてきて、嬉しかったです。
2.経木を使ったランプづくり
ランプづくりに入る前に、SDGsカードゲームを実施しました。このカードゲームは、2015年に国連で採択された“持続可能な開発目標(SDGs)”の意義を体感的に理解することができるゲーム。この体験を通して、“地域の森林資源に新たな付加価値をつけ、森と暮らしが循環する持続可能な未来を描いていこう”というこの授業の目的を、改めて共有することができました。
授業の目的を共有したら、いよいよランプづくりに入ります。今回は、①暮らしを彩るランプ、②他学年が製作したサイクルスタンドとコラボレーションをした、サイクルスタンドの傍で使うランプ、③1日限定のクリスマスマーケットにて空間を彩るランプの計3つのコースを用意。その中で自分が作りたいコースを選び、製作を進めていきました。
ターゲットや利用シーンの設定、ランプのデザイン、プロトタイプづくり。自分で考えたり、時には友達同士で意見交換をしたりしながら、アイディアを深めていきます。生徒たちは、試行錯誤を繰り返しながら、職人にアドバイスをもらいながら、製作を進めていきました。
3.大芝高原 クリスマスマーケットでの展示会の開催
このランプの展示発表の場として、大芝高原道の駅「味工房」で開かれている、クリスマスマーケットにて、展示会を開催させていただけることになりました。寒さ厳しい日ではありましたが、色んな方に足を運んでいただき、作品を見てもらうことができました。ここで、生徒からいただいた感想を一部ご紹介します。
「イベントにはたくさんの方に来てもらった。納得のいくものでなく、自信がなかったけれど、”すごい素敵。”と言われて嬉しかった。」
「経木はものすごく繊細で、すぐに破けたりしてしまった。経木を加工して、形にすることは難しかったが、形になった時はとても嬉しかった。」
木の命をいただくところから、デザイン、製作、そして展示会を通して来場者からフィードバックをもらうという、ものづくりの一連の流れを組み込んだこの授業。試行錯誤し、時には投げ出したくなった時もあるかと思うけど、放課後の時間なども使いながら最後までやり切りました。地域の木と灯りを組み合わせて、地域材の新しい価値や可能性を追求した時間。この授業が、少しでも心に残る体験になってくれたなら嬉しいです。