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2022.03.04

フィトンチッドとは

森と暮らしがこれからもずっと続いていくために。森の恵みのレシピや持続可能な社会をつくっていくために知っておきたいことをまとめた小さなweb事典です。

フィトンチッドとは、植物が自分を守るために出している様々な成分のことで、1930年頃ロシアの科学者 ボリス・トーキン博士が、名付けました。

植物は、根を下ろしたら自分では動くことが出来ません。そのため、そこで自分自身を守り生きていくために様々な工夫をしています。害虫や他の植物に負けないように様々な物質を出して自分自身を守っているのです。この成分がフィトンチッドと呼ばれるもので、フィトン(植物)チッド(殺す)という意味があります。

森の中にいると清々しい気分になりますが、森には様々な樹木や草から放出されるフィトンチッドがあります。これらは人間の皮膚やのどの粘膜に触れて分泌を盛んにしたり、脳などの中枢神経に作用して気を静めたりする効果があるといいます。
また、伐採して木材になった後にもフィトンチッドの効果は続き、家具を使っている時や木質空間にいるだけでリラックス効果を得ることが出来ることが分かってきています。(参考/木の家の健康を研究する会

フィトンチッドという言葉は、日本で森林浴が推奨された時と同じ時期に日本に入ってきたため、日本では特にリラックス効果を生むイメージとともに浸透しました。しかしながら、葉だけではなく根や樹皮などからも分泌されるフィトンチッドの成分は数百種類あり、私たちの暮らしの様々な場面で活用されています。

例えば、桜の葉や柏の葉。和菓子に使われますが、それぞれクマリン、オイゲノールという抗菌性を持った成分があり衛生面でも安心です。寿司や刺身を食べる時にわさびを使いますが、味覚の面だけでなく強い抗菌作用のあるアリルイソチオシアネートという成分があるため、食品衛生的にも有用であると言えます。他にも虫除けや除草、抗生物質として人間の病気の治療や健康に役立っているフィトンチッドの成分もあります。

植物が持っている不思議な力、フィトンチッド。私たちの身近なところで活用されています。

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