降る雪が雨に変わり、雪解けが始まる時期とされる二十四節気の“雨水”に入った2月下旬。
「孫の初節句のお祝いにプレゼントしたい。」というご依頼を受けて製作した雛人形を納品させていただきました。
着色はせず、それぞれの樹種が持つ色味を生かせるようにデザイン。経年によって緩やかな色の変化を楽しんでいただけます。
男雛の冠と纓(えい)はイスノキ。笏(しゃく)はサクラ、着物はエンジュ。
女雛の檜扇(ひおうぎ)はヒノキ。釵子(さいし)はケヤキ、着物はサクラを使用しています。
顔部分は、どちらもミズナラを使用しました。
男雛、女雛の着物の背面と側面、女雛の釵子は彫刻刀で手彫りし、仕上げには全体に蜜蝋を塗りました。木目の表情と手彫りの表情が重なり、手に取りたくなるようなあたたかな雰囲気です。
また、お椀の高台のように接地面の裏側を彫り込み、フォルムを維持しつつ全体の安定感を高めました。
「注文して終わりではなく、打ち合わせや設計段階から関われたことで、一緒に作っているようでとても楽しかった。かわいらしいお雛様でとても嬉しいです。」というご感想をいただきました。
それぞれの木が持つ特徴や意味、色の経年変化を楽しんでいただきながら、毎年のひなまつりに彩りを添えられたら嬉しいです。
<information>
・納品プロダクト/雛人形
・樹種
〈男雛〉イスノキ、ミズナラ、サクラ、エンジュ
〈女雛〉ケヤキ、ミズナラ、ヒノキ、サクラ
〈プレート〉クリ
・木の産地/伊那谷(※イスノキのみ鹿児島)
・納品日/2024年2月