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2021.04.01

なぜ僕らは、「森をつくる暮らし」をつくりたいのか

長野県伊那市で「森をつくる暮らしをつくる」を理念に掲げる株式会社やまとわ。
豊かな暮らしづくりを通して、豊かな森をつくることを目指している会社。2021年、新しい年度に入ったので、過去の記事を再掲します。 

やまとわ 取締役 奥田悠史

「やまとわ」が目指す未来について、やまとわは「なぜ森をつくる暮らしをつくりたいのか」と「なぜ森だったのか」を僕(奥田)の目線で書いていく。

やまとわの36OFF1CE(山の麓のオフィスと目の前の道の国道361号にかけている)

「森をつくる暮らしをつくる」という理念

大前提として「森」は、地球にとってとても大切なエコシステム(生態系)だと僕は考えている。
「生態系」というよりも「エコシステム」といったほうがしっくりくる。
雨をたくわえ、土壌の流出を防ぎ、水を浄化し、二酸化炭素を固定する。そして、そこにはたくさんの生物、微生物、植物が暮らしていて、その相互作用によって環境が維持される、というのはまさにエコで持続可能なシステムだと感じるからだ。

この、森が持つエコシステムが機能不全になりつつある、というのが今の日本の森が抱える大きな問題の1つだ。それが人の利用の過程で起こっているのであるならば、その状態を良いものにするために、やまとわは、企業活動を行なっていきたい。

平川克美さんの「21世紀の楕円幻想論」という本が僕はとても好きで、その中に出てくる言葉が僕の背中を押してくれる。自己責任論の話から、責任についての話に展開していくなかで、次の言葉がでてくる。

「本来自分に責任のないことに関しても自分が責任を取っていく」

出典:21世紀の楕円幻想論 その日暮らしの哲学 平川克美著 ミシマ社

この言葉にグッときた。森の責任なんて誰か一人で取れるわけがない。本来ならば森をこんな状態にしたのは、僕じゃない、と言い放ってしまうこともできる。それでも僕はそうしたくない。

「森」という地球にとっても僕らにとっても大切なエコシステムが機能不全を起こしそうな状態であるなら、それをなんとかしたい、と考える。

今、森の管理には莫大な税金が投入されている。そのために、なんとか林業の健全化を図りたいというのが国の方針。林業の産業競争力を高めていくために効率の高い森林施業をしようというのが最近の潮流だ。

「森の産業化」は僕も非常に大切だと考えているが、そのときに森のエコシステムが機能不全にならないようにするにはどうするか、というのも一緒に考える必要がある。
エコシステムとしての森と、産業としての森の二軸をどうやって達成するかを考えたい。そのために、どうするか。というのが「森をつくる暮らしをつくる」なわけです。

「こういう暮らし方いいよね」という価値観が、「森をつくる」につながっていたら最高だと考えていて、そういう未来をつくりたい。

現状では、森と暮らし、というのはものすごく遠い。
森の都合と人の都合が一致する場所を探して、森と暮らしの接点を作っていくことが僕らなりにの課題解決の方法だと思っている。そういう文化・文脈の共有をしていくことで、森の価値をすこしずつ上げていきたいのです。

そういう未来を創っていくために、やまとわは実際に何をやっているか、というと

・冬は林業、夏は農業の「農家林家の生業づくり」
・地域の木をつかった家具、木工製品づくり
・地域のアカマツを使った家具ブランド「pioneer plants」
・地域の里山の木を使った家具シリーズ準備中(2021年夏頃発表予定)
・地域の木を使ったオフィス木質化
・地域の木を使った家づくり、リノベーション
・森のトータルディレクション「木を見て森も見る 森の企画室」
・森の担い手育成「伊那谷フォレストカレッジ」(伊那市との官民連携)
・森のグッドニュースをつないでいくフリーペーパー「森と未来をおもしろく tent」
・薪ストーブ、ウッドボイラーを使ったエネルギー利用
・森に関わるイベント

などなど、多岐に渡って森をいろんな方法でおもしろくしていこう、森と暮らしが近い未来をつくろう!と取り組んでいるのが「株式会社やまとわ」。

もし興味があったりご一緒できそうなことがあれば、一緒に森をおもしろくしましょう!

やまとわは素敵なスタッフがかなり増えて、ものすごく心強いです

なぜ、森だったのだろうか

僕は三重県伊賀市生まれ。5人兄弟の末っ子。

一番歳の近い兄弟は、6つ上の兄。小学校1年生のときに、兄はすでに中学生。幼い頃から父と兄に連れられて川に遊びに行っていた。父は「鮎釣り」が趣味だった。兄は、銛で魚を突くのがとてもうまい。幼い僕は、石をひっくり返してサワガニをとったり、生ぐるみを拾って石で割る。くるみが硬くて手を滑らしてたまに指を挟んだりもした。

昼には、川辺で焚き火をした。兄が獲った川魚のハラワタをとって、笹にさして焼く。よく囲炉裏で見るようなあの風景だ。今のようなキャンプ用品など、何も持っていない。サワガニを焼くときは、焚き火を石で囲んでその上に石を置く。熱した石の上でサワガニを焼いた。
今にして思えば随分とワイルドだ。川を渡って向こう岸に行くときに気をつけることは、立ち泳ぎをして、手に持った塩とおにぎりを濡らさないこと、だ。
塩がなければ、新鮮な魚だって味気ない。

秋になると、家の近くの森へ、むかごやアケビを取りに行った。兄が木にのぼり、僕は下でTシャツを広げてキャッチする。年の離れた兄についていくのに川でも森でも必死だった。

兄は中学を卒業して、山形の高校へ行き北海道の大学へ行ったので、なかなか会わなくなった。保育園児から小学3年生までに、僕はやたらと自然に触れていた。

それから時間は飛ぶが、僕は信州大学に行き、森林科学科に入学した。森のそばで育った僕は、環境問題や森林問題がなんとなく身近だった。だから森というのが社会全体の中でとても重要な存在だと考えていた。

大学に入ってわかったのは、森の問題の根深さだ。色々な「意図」が「糸」になって絡まり合って、いつのまにかほどく方法がわからないほどに絡まって固結びになる。一本一本丁寧にほどこうとすると、また別の糸が絡み合う。
「自分に何ができるのだろうか」と落胆する。そうやって僕は一度森のことをあきらめた。大きな視点でざっくりと森を見て、出来ないと決めて、諦めた。森のことを知れば知るほど、森のことがわからなくなる。そんな感覚に陥っていく。まだ、何もしていなのに。

それから数年後、僕がデザイン事務所を立ち上げたばかりの2015年に、中村さんが声をかけてくれた。「一緒に森の利用をつくろう」と。そこから、企画会議が始まり2016年10月にやまとわは誕生した。
一度諦めたのに、諦めていない人との出会いによって、森をおもしろくすることにチャレンジできている。だから、僕がいま森のことを仕事に出来ているというのは最高に幸せで嬉しいことなのだ。

大きな問題に取り組むときにマクロ視点でものを見ていても足は止まる。
もちろんマクロでみることも大事だけれど、行動はいつもミクロからしか始まらない。

大きな問題という風船に小さな小さな針で穴を開ける。抜けていく空気はほんの少し。それ以上に膨らむスピードは早いかも知れない。それでも小さな穴をあける。それがひとつ、ふたつ、みっつと増えていけばどこかで穴がつながって、問題がプシューと音を立ててしぼんでいくかも知れない。僕は、そんな未来を見つめたい。

昔遊んだ川、久しぶりに懐かしくなって行ってみようと思ったけど、ダム建設で、もう行けないみたい。立ち入り禁止の看板の先の風景は、随分変わってしまっているのだろう、ね。

取締役 / 森の企画室室長
奥田悠史

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