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2022.04.18

DONGURI FURNITUREで使う4つの樹種と人間の暮らしについて

どんぐり、栗、くるみと聞いて何を思い浮かべますか?

まず頭に浮かぶのは、きっとコロンとした丸い実ではないでしょうか。
どんぐりは、森で集めるのも楽しいし、栗やくるみはお菓子や様々な料理で美味しく食べることが出来ます。どれも秋になると、私たちを楽しませてくれる可愛らしい実です。

どんぐりが実る木がたくさん生えていた里山では、人々は落ち葉を集めて堆肥にしたり、木を伐って炭を焼いたり薪を採ったり、きのこを育てたりしながら暮らしていました。木を伐ったら15年~20年は木を育ててまた伐るということを繰り返し、里山の木々は人の手入れによって循環していたのです。定期的に人が森に入ることで、人と自然が共存していました。

しかしながら、戦後、炭や薪に代わって石油や天然ガスなどが主なエネルギーになると、暮らしは大きく変化し、森は手入れされないまま放置されてしまいました。

“暮らし方が変わったから自然との関わり方も変えよう”

直接森に入って薪や落ち葉を集めたり、きのこを育てたりする生活は難しいかもしれないけど、木を使うことで森を良くしていきたい。そんな思いから、自然と暮らしをつなぐ家具として、里山の広葉樹を材料にした家具 DONGURI FURNITUREが誕生しました。

今回は、DONGURI FURNITUREの材料である「コナラ」「ミズナラ」「クリ」「クルミ」について、それぞれの木や木材の特徴と人との関わりに触れながらまとめてみました。

伊那市旧富県南部保育園

コナラ/小楢
ミズナラ(オオナラ)/水楢・大楢

ブナ科コナラ属コナラ亜属
コナラはミズナラの別名、オオナラ(大楢)と比較して名付けられました。環境への適応性が高く、北海道南部から九州にかけて幅広い地域の里山で多く見られます。
コナラを伐ると切株からたくさんの芽が出てきます。これを萌芽更新といいます。先人たちはその特徴を生かし、暮らしに取り入れてきました。古くから人間の暮らしと関わりが強かった木で、木炭の原料や椎茸の原木として使われたり、葉っぱはたい肥の材料として用いられてきました。
人が里山を利用しなくなったことから、木が大きくなって弱った老木に病原菌や病原菌の媒介昆虫がすみつき、ナラ枯れと呼ばれる森の感染症が広がっています。
コナラの材はミズナラよりも硬くて重い性質から、イシナラと呼ばれることがあります。これまでは家具としての利用は多くありませんでしたが、実際に使ってみると木の表情がとても豊か。DONGURI FURNITUREでは、コナラの性質を生かした設計を考えています。

一方のミズナラ(オオナラ)は、たくさんの水分を含み、燃えにくいため水楢と呼ばれます。コナラよりも涼しい気候を好み、北海道や東北、中部地方、西日本の山地帯に分布します。コナラが里の木であるのに対し、ミズナラはどちらかというと山の木といえます。日本の落葉広葉樹を代表する木で、日本固有のナラ類の中でも最も大きく成長するため、森の中でも存在感があります。重く固い材ですが、落ち着いた木目の美しさや色合い、程よい硬さで強度があるため、良質な木材として利用されてきました。

ナラは漢字で「楢」と書きますが、つくりの部分の“酋”は酋長という言葉に使われるように「治める者」という意味を持っています。木としての風格、森に占める様子、木材や資材としての利用価値の高さから「森を治める者」と感じさせるのかもしれません。

コナラのSquare Table

クリ/栗

ブナ科クリ亜科クリ属
果実が黒褐色になるので黒実(くろみ)がクリになったとか、石を指す言葉から来ているなど名前には様々な説があります。あく抜きなしでそのまま食べられることから、日本だけでなく世界中で昔からたくさん食べられており、栽培も行われてきました。日本では、1万3千年前の遺跡から栗の実が出土しています。

硬くて重く腐りにくいことから、古代から材として重宝されており、縄文時代の遺跡からは建築材の土台に使われていた痕跡が発掘されています。例えば、青森県にある三内丸山遺跡では、6本柱の巨大構造物の主柱に用いられています。
大量に利用されていた鉄道の枕木や土木用材では、防腐処理や防虫加工せずに使えることから重宝されました。(現在はコンクリート製に変わってきています)
工芸品にもよく用いられ、力強い木目を生かしたものが多く見られます。

クリを使ったRound TableとStool

クルミ/胡桃

クルミ科クルミ属
日本にはクルミと名のついた木が何種類か生育していて、オニグルミやヒメグルミが日本に自生していた品種です。通常市販されているクルミはペルシャクルミ系カシグルミです。イラン~欧州東南部アジア西部が原産地で、豊臣秀吉の時代 朝鮮出兵の時に持ち帰ったという説があります。
クルミの実は脂肪分が高く手に入りやすい食材とされ、遺跡からの発掘も多く、縄文時代の遺跡から発見されたクルミは栽培種だったことも分かっています。

広葉樹の材としては柔らかい部類に入りますが、重硬で衝撃に強く、強度と粘りを持っています。狂いが少なく、加工性や着色性も良いため、様々な用途に使われてきました。
最も利用された特殊な用途としては銃床で、明治時代から昭和初期にかけて、軍需用に大量に消費されました。弾の発射時の衝撃を吸収するのに、クルミ材の特徴である程よい硬さと重さが向いていたと言えるでしょう。
例外としてサワグルミは、果実は食用に適さず、材としての評価も低くマッチの軸やつまようじなどにしか使われません。

クルミを使ったbench

ここまで、それぞれの木の特徴について見てきました。
実をつけるだけでなく、木材としても利用価値が高かった里山の木々。かつては、食料としてはもちろん、暮らしのすべてが森と繋がっていました。

私たちの暮らしが大きく変化した今、森はとても遠いものになりました。人の手が入らなくなった森は荒れてしまい、地域の風景も変わってきてしまっています。

“暮らし方が変わったから自然との関わり方も変えよう”

昔のような暮らしには戻れないけれど、今の暮らしに合った形で森と関わる。里山の木を使い、森に手を入れることで豊かな森になっていきます。

オフィス家具として、デスクやミーティングテーブルにも。ホーム家具としてダイニングテーブル、勉強机、ソファテーブルとして。
DONGURI FURNITUREは、森と暮らしをつないでいきます。

【参考文献】
「にほんどんぐり大図鑑」徳永桂子著(偕成社)
「木材大事典170種」村山忠親著(成文堂新光社)
「樹木と木材の図鑑」西川栄明著(株式会社 創元社)
「ドングリ(コナラ)の絵本」大久保達弘著(一般社団法人 農山漁村文化協会)
「この木なんの木」佐伯浩著(海青社)
「日本の暮らしを支える樹木たち」田中潔著(株式会社 主婦の友社)

【webサイト】
日本の木材「広葉樹」:「ミズナラとコナラ」ハウスクリエイト株式会社

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