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2024.10.22

生食だけでないとうもろこしのおいしさを届けたい。とうもろこし栽培とYAMAZUTO“長野伊那谷 SWEET CORN SAUCE”

2021年から栽培を始めて、今年で4年目になるやまとわのとうもろこし。
無農薬・自家製有機堆肥を使用して育てているため、生食も可能で生で食べるとフルーツみたいに甘くてジューシーだと大好評。おかげさまで、毎年楽しみにして下さっているお客様も増えています。

この度、YAMAZUTOに“長野伊那谷 SWEET CORN SAUCE”(以下、SWEET CORN SAUCE)が新たなラインナップとして加わりました。やまとわのとうもろこしをたっぷり使い、とうもろこしならではのやさしい甘みと風味が特徴の他にはない美味しいソースに仕上がりました。

有機栽培が難しいとされているとうもろこしですが、栽培にあたってどんな工夫をし、どういう思いで育てているのか。
また、生でもおいしいとうもろこしを使った“SWEET CORN SAUCE”は、どんな味わいなのか。
とうもろこしの栽培をしている 農と森事業部の小瀧さんと商品プランに携わった榎本さんに“SWEET CORN SAUCE”の背景についてお聞きしました。

やまとわのとうもろこしの播種は、5月初め。
2年連続、スタッフが事業部を越えて協力して種を蒔いています。ちょうどGWと重なるため、家族で参加してくれるスタッフも。
そこから収穫まで約3カ月弱。とうもろこしは、人の背丈になるまで成長します。

土壌分析の数字と養分の流亡
ふたつの視点から適切な肥料の量を考え
できることを少しずつ積み重ねていく

ーとうもろこしの旬の中でも、なるべく早い時期に収穫できるように、栽培適期のなるべく早い時期から始める。
適期よりも早い時期に播種しても育ちやすい品種を選び、虫がとうもろこしの中に入ってしまうリスクを減らしています。
それでも、甘さがあり他の野菜よりも色んな虫がたくさん寄って来そうなとうもろこし。栽培にあたって、他には具体的にどんな工夫をしているのでしょうか。

小瀧 : ひとつは肥料の量を工夫しています。実はとうもろこしは肥料がたくさん必要な作物。だからといって、肥料をあげすぎるのもよくないんです。生育に必要な量は必要だけれど、なるべく少なくした方がアブラムシがつきにくいということもあるんですよね。

ーとうもろこしの栽培には肥料がたくさん必要だけど、なるべく少なくした方がアブラムシがつきにくい…なかなか悩ましいですね。
どれくらい施肥するかというのは、どうやって見極めているんですか?

小瀧 : 僕らは、土壌分析の結果も一つの指標にしています。絶対ではないけれど、参考にする。そこにこれまでの培ってきた経験なども踏まえてどれくらい入れるのか、を決めています。
ただ、最近は雨の降り方が集中的になってきているので、一番最初の施肥をする時、必要な量を一度に全て入れておくと、養分が水で流亡してしまうというリスクがあります。

榎本 : 雨で流されてしまうんですね…そうすると、そのことも踏まえて肥料を入れる量やタイミングを考える必要がありそうですね。

小瀧 : そう。なので最初入れる分を少なめに入れておいて途中で追うという感じです。
例えばとうもろこしの生育にトータル100の肥料が必要だとしたら、スタートに100入れちゃえば良さそうだけど、雨で養分が流れてしまって残りの生育に必要な40を追加しないといけなくなった場合、結果的にトータルで140入れることになる。最初に70くらい入れておいて、雨で流れてしまったら追加で40を入れる。そうすると、トータルが110。
流亡するのを見越して最初に入れる分を少な目にすると、トータルは減らせるっていうことになります。

ー雨で養分が流れてしまうことは、どれくらい予測できるものなんですか?例えば、天気を見てどのくらい雨の日があったとかそういうことで考えるんですか?

小瀧 : 「信州ぷ組」という土壌分析の勉強会に参加していて。この「ぷ組」は教科書を使って勉強するのではなく事例で学ぶんです。有機農業や慣行農業、ありとあらゆる作物を作っている農家それぞれの圃場の事例を毎年検体を何百も見ているんですね。
その会でもトレンドみたいなものがあって、これまで栽培期間中に流亡しなかった成分も、近年は流れてしまうような傾向にあるということが見えて来ていて。そうなると、一番最初に必要な肥料を全部入れてしまうのは、あまり賢くなくて、途中で追っていったほうがリスクは軽減できるよねっていう。

榎本 : いろんな農家さんの土を事例に学び合うのは、めちゃくちゃ勉強になりますね!近年傾向が変わってきているのは、それだけ雨がめっちゃ降っているよっていう?

小瀧 : 降雨量というより、降り方。短時間にザーッと一気に降るような雨。
窒素の流亡は、土にどれくらい水が一気に入ってしまったかとか土の飽和量みたいなもので決まるから、単純に降雨量だけでは全然分からないんですよ。しとしと降ったらそんなに問題ないけど、ガサっと降ると一気にやられてしまう。

榎本 : …奥が深いですね。

小瀧 : 肥料の工夫をしてもアブラムシが全くつかないっていうことはなくて、つくんですけど少なくなる。あんまりアブラムシがつくような兆候があったら、雄花を切り取る作業をすることもあります。

ーアブラムシって、雄花につくんですか?

小瀧 : 雄花にも雌花にもつくんですけど、最初雄花が開いてから雌花が開く。アブラムシって増殖するものだから、発信源をなるべくなくしておこうっていう。

ーそれをやり始めたのもだんだんですか?

小瀧 : 家庭菜園を長くやっているスタッフが提案してくれて。
とうもろこしの害虫のひとつにアワノメイガっていうのがいるんですけど、この虫は雄花が好きで雄花に寄って来るんです。それでそこから雌花に来て、とうもろこしの中に入ってしまうということもあるんですよね。
他にもたくさん害虫がいるので、これをやっておけば間違いないということは言えないけど、少しずつできることをやっています。

生でも食べられるとうもろこしのために
生鮮での販売が難しいとうもろこしで加工品をつくる

無農薬・有機堆肥でより良いとうもろこしを栽培するために、土壌分析や日々の観察など様々な努力をしている小瀧さん。それでも、全てのとうもろこしの虫害を防ぐことはできません。
今回、YAMAZUTOのラインナップに加わった“SWEET CORN SAUCE”は、味はA品と変わらないですが生鮮としては出荷できないとうもろこしを使っています。

小瀧 : とうもろこしを有機栽培で育てるっていうことは、本当に難しくて対策をどんなにしても生鮮としては出荷できないB品が出てしまいます。
改善の余地はもちろんあるんですけど、とうもろこし全体の半数に近い量をどうやって商品にできるか。先端が虫に食べられているとか、ピンホールみたいな小さな穴があいているもの。こういうものは、生鮮では出しにくいなっていうことで加工に回します。

榎本 : とうもろこしは、やまとわが栽培している野菜の中で一番人気があります。リピーターのお客様もいて、毎年人気が広がっている状況。生鮮野菜として販売できなかったB品を加工品にすることで、違う形でおいしくなって皆さんにお届けできることがとても嬉しいです。

小瀧 : とうもろこしを栽培していると、栽培規模の拡大をしようとすればするほどB品が出てしまう。B品が出れば出るほど、背徳感があって「そんなに作って良いのかな」という思いもありました。これをやり続けていいのかな?という思いがあった部分を、加工品に回せるっていうのは生産側としてはかなり嬉しいです。

ー形が揃っていないものや、多少の虫食いがある野菜でもおいしさは変わらないことから、B品も積極的に消費しようという流れもあり、最近のトレンドになりつつあります。小瀧さんは、その辺りについてどう感じているのでしょうか?

小瀧 : 日本の基準はすごく厳しくて、A品になるには点数で言えば大体90点以上のもの。「A品はどこからがA品なんだろう」というところだと思うが、ボーダーラインを下げていくのはまた別の営みだと思っています。
使えるものは基準を下げながら使うというのは、食料自給の観点で必要だと思うんですけど、世に出るA品をちゃんと扱うということは大事にしたい。

ー作りたいものを最もおいしい形で届けたい。そういう小瀧さんの気持ちがすごく伝わってきます。

榎本 : B品を生鮮野菜として出荷するのではなく、社内で加工品にする。そうすることで、どちらも食べてほしい良い状態で食べてもらうことができます。二足の草鞋じゃないけど、とうもろこしについては二本立てで進めていけるのは最高ですよね。

ー生で食べると果物のように甘いと評判のやまとわのとうもろこし。“SWEET CORN SAUCE”はどんな味わいなのでしょうか?

榎本 : セロリや人参のように風味が強い野菜をディップしても、とうもろこしの甘みやかおりがしっかり感じられるソースです。

小瀧 : 他にはない美味しさですね。

榎本 : 自然にもっと食べたくなるような味わいですね。一番のおススメは、シンプルに野菜をディップする食べ方。

ーほかにはどんな食べ方がおすすめですか?

榎本 : あとは、トーストにつけたり、パスタに和えたり。
お酢を加えると、サラダのドレッシングとしてもお使いいただけます。食材を選ばず、いつもの料理に程よくアクセントがつくので、ひと瓶あるだけで日々の食事を豊かにしてくれます。

自分が取り組む農業について「自然体農法」だという小瀧さん。
柔軟性があり、ひとつの方法にとらわれずに様々な方法を試しながら日々作物に寄り添っています。

“長野伊那谷 SWEET CORN SAUCE”には「本当においしいものをおいしい形で食べて欲しい」そんな思いが詰まっています。

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YAMAZUTO“長野伊那谷 SWEET CORN SAUCE”
栽培 : 農と森事業部 小瀧誠、高野謙太郎、宮原幸二
商品プラン : 榎本浩実
レシピ : 柳原秀則
ディレクション : 奥田悠史、市川雄也

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