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2024.09.19

基本の木会議“端材の可能性”


基本の木会議とは?

2ヶ月に一回のペースで開催される、やまとわの全体ミーティング。「森をつくる暮らしをつくる」ってどういうことだろう?に立ち返る時間。
今、やまとわのメンバーでどんなことを考えたらいいか、テーマも開催場所もその時の担当者が自由に決めることができます。

9月上旬、第33回基本の木会議を行いました。今回のテーマは“端材”。
今回は経木の端材ではなく、家具づくりで出た端材に焦点を当て、端材が持つ魅力を活かした“作品”を額装しました。

端材とは?

まずは端材に関する説明から。端材とは、どんなものなのか。
実際に製材された状態の大きな板を使って、家具製作をしている職人の近藤さんが説明します。

端材には大きく分けて2種類あり、ひとつは節やピンホール(虫穴)、入皮(外傷によって樹皮が木材中に巻き込まれたもの)と呼ばれるもの。この部分は、木材の欠点・傷と言われており、強度や見た目の美しさが低下するため、木材の材料としての使用価値を低くしてしまっています。
欠点の程度が小さくて強度に影響がないものであればその木の個性として製品に使いますが、欠点の程度が大きいと強度やねじれ、反りなどの不安があるため、木取り(製材をした板を使うパーツごとに切り分ける作業)の段階からなるべく避けるために端材になります。

節がある材。家具にする際、この節を避けて使います

もうひとつは、大きさや長さなど製作上の都合で端材となってしまったもの。木取りをするとどれだけの端材が出るかということを、実際前日に行った木取りの際に出た端材を見せながら説明してくれました。

さらに、今回製作に使う端材はどういう家具づくりの際に出たものなのか、樹種はなにかについても話がありました。中には、農と森事業部メンバーが伐採した木もあり、ひとつひとつの端材の背景がより明確に見えてきます。

もうひとりの担当唐木からは「端材は炭にしたりボイラーや薪ストーブの燃料にしていると思っていたが、製作過程で出た端材の中から特に残しておきたいものを職人さんたちがそれぞれ大切に取っておいている事を知った」というエピソードを紹介。
職人さんたちが製作している家具だけでなく、製作過程で出た端材にも心を向けているという事を知ってから端材に対する見方が変化したといいます。

個性的な木を眺めて楽しむ“眺木展”

今回の製作をやろうと思ったきっかけは、昨年夏飛騨で行われた「眺木展」というイベントだったそう。文字通り、木を眺める。流木や木の根などそのままの良さを伝える作品や、製材や家具製作の過程で出る端材などを展示したものなど、それぞれの出展者がこれぞと思った木を眺めて楽しむ展覧会で、ヒダクマ(飛騨の森でクマは踊る)の松本剛さんがINA VALLEY FOREST COLLEGEの講座の中で紹介したことで知ったといいます。
この眺木展にヒントを得て、今回の製作で端材の個性を見極めて作品として選び、額装できないかと考えたそう。

その後製作の手順の説明があり、製作に入る前に端材の中から作品を選ぶ際のポイントについて話がありました。
「“なんとなく気に入った”ではなく“なぜその端材に心惹かれたのか”というところを大事にして欲しいです。端材が持つ魅力を見つけてあげてください。」

色んな背景のある端材の魅力を活かす

まず作品を選びます。木目、節、虫食いなど様々な端材をひとつひとつ手に取って、じっくりと選びます。全ての端材に樹種が書かれており、選ぶ際の参考のひとつに。パッと決まる人やなかなか決まらない人、合わせる額の材料とセットで考える人。作品選びの段階で、すでにそれぞれのこだわりが見えます。

サクラの端材の節や木目を見ながら、この木がどういう向きで生えていたのかについて相談し合うメンバーもいました。端材からどんなサクラの木だったのかを想像して作品に活かします。

選んだ作品をそのままのサイズで使ったり、カットしたり。作品のサイズが決まったら、作品に合わせて額の端を斜め45度にカットします。

作品に額材をはめ、木工用ボンドを塗ったら輪ゴムでしばらく固定します。その間に、作品名と名前、この端材に心惹かれた理由を紙に記入しました。

端材が持つ魅力

できあがった人から展示会場として準備した部屋へ作品を展示していきます。

今年の夏の思い出を端材の節や木目に重ねたり、絵本の物語を当てはめたり。色や形だけでなく、樹種や家具づくり、その木の背景など、スタッフそれぞれの視点から選んだ端材が個性あふれるアート作品になりました。

近くに寄って見てみたり、少し遠くから眺めてみたり。作品を作ったスタッフに話を聞くことで、さらに深く作品の魅力を感じることができました。

時間の都合もあり短い時間しか展示できませんでしたが、ゆっくりと鑑賞できるように改めて展示をしたいという話も出たり、またやりたいという声も。
“端材”という呼び方でひとくくりにできない魅力を、知ることができたひとときでした。

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