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2024.10.01

いつも自分のそばに。使いながら育てていく、Hygge を楽しむ家具 pioneer plants

「Hygge(ヒュッゲ)」というデンマークの言葉を聞いたことはありますか?

日本語で「居心地の良い時間」や「のんびりした時間」と訳されるこの言葉は、家族や友人とのつながりの時間であり、時には自分自身とのつながりの時間であり、時には、自然とのつながりの時間でもあるといいます。

日々の暮らしの中に、人と自然のつながりのある時間を。

pioneer plantsは、気軽にのんびりできる時間をつくりたいと考えてつくった、ゆったりと座れて、折りたたむことができる家具です。

そんなpioneer plantsの製作には、主に3名のスタッフが携わっています。
木工職人 近藤さん、関さんと、ChairとOttomanの座面の縫製をしている中村洋子さんの3名がChairの製作について語り合いました。

シンプルなデザインが美しいpioneer plants
だからこそ難しい面と、面白さ

ーpioneer plantsは、折りたたんで持ち運べる家具。ひとつひとつのパーツは細く、デザインもシンプル。それ故に製作時に気をつかう面も多いのではないかと想像することができますが、一般的な家具づくりにはない面白さや逆に大変な面はどういうところでしょうか?

近藤 : pioneer plantsで使っているパーツは少なく、シンプルで必要最低限で成り立っています。使っている最中に起こるねじれなどの木の動きを見越して、どうやって木をつかおうかというのは毎回悩みます。だからこそ、面白くもあるんですけど。
木取り(製材をした板を使うパーツごとに切り分ける作業)の際、Chairの脚はなるべく目が通っている(節などがなくまっすぐな木目)のところを取るようにしています。笠木(椅子の背もたれの部分のこと。ここでは、背もたれにあたるカーブした部分を指しています)は、節があってもカットする時によけられるんですけどね。脚は、強度や見た目の点から木取りの際に特に気をつけています。

関 : pioneer plantsに限らず椅子そのものに言える事ではあるんですけど、人の体形によって座り心地が全く変わってしまいます。pioneer plantsのChairが普通の椅子と違うのは、ハンモックみたいな布を引っ掛けてそこに体を預けるデザインであること。座った直後の印象ですべてが決まる普通の椅子と違って、ずっと座っているとバランスが変わって来たりしてしまうので、そこはとても気をつかいます。

近藤 : 関さんが言っている部分と重なるんですが、一番最後の仕上げ、Chairの脚はロープで角度を決めるんです。しっかりきつく良い角度を狙って締めるのですが、要の部分なので特に気をつかいますね。

ー役目が終わった後も、ゴミが出ないように。ロープを使い、なるべく金具を使わないという点もpioneer plantsの特徴のひとつ。木を継いでいる部分の見た目がとても美しいですが、どんな方法を用いているのでしょうか?

関 : Chairの脚のところは、ほぞ継ぎ(ほぞ穴とほぞの突起で2つの木材を継ぐ)。
笠木部分は、相欠き(あいかき)といって両方の材を削って組んでいます。両方とも欠いていることで、見た目が美しいだけではなくて材料同士の嚙み合いにより強度が増します。

ーChairの座面部分の布。座るとまるでハンモックのように体を包んでくれて、とても気持ちが良いです。縫製をしている洋子さんは、製作の際にどんな点に気をつけていますか?

洋子 : 私が携わっているカバーの縫製については、一枚一枚作り方やサイズを変えてはいけないということを特に意識してやっています。ただ布の種類にコットン素材とナイロン素材があって、布の硬さとか柔らかさが違うのでナイロン素材の方が使っているうちにゆるむことを想定して縫っています。おなじ型紙を使っているんですけど、生地によって若干作り方を変えているという感じですね。

ーカバーをひっくり返してみてビックリ。パッと見た感じだとすごくシンプルに見えるんですが、座る人をしっかり支えるために強度も考えて何度も折り返して重なっていたり、とても複雑に縫っていることが分かりました。

洋子 : 改良に改良を重ねたので一枚を仕上げるのにすごく手間がかかります。
でも、私は家具は作れないんですけど、家具製作に参加できていることがとても嬉しいです。作ることが好きなので、やまとわの製作に関われるっていうことは、とても光栄なことだなと思いながらやっています。

いつも自分のそばに。
使いながら育てていく、木の味わい

pioneer plantsは折りたたむことができる家具。樹種は、これまでのアカマツに加えてクリとクルミがラインナップに加わりました。
ーそれぞれの樹種の特徴があれば、教えてください。

近藤 : 元々のアカマツは針葉樹、今回新たに加わったクリとクルミは広葉樹ということもあって、手触りや色などそれぞれ特徴があり、もちろん違いはあります。ただ個体差や取る場所によって差があるんですよね。

関 : 同じクルミでも、削った段階からすごく黄色いなと感じるものがあったり、外国産のウォールナットじゃないかと思うくらい赤紫色のものもあります。
なので樹種の特徴をこうと言い切れないのですが、経年変化を楽しみながら「育てる」印象かな。色が濃くなっていくものもあれば、逆にクルミは色が抜けていく。使えば使うほど、自分だけのものという感じが出て来るのも木ならではなのかなと思います。味わい深くなっていくその変化を楽しんでいただけたら。

ーなるほど、面白いですね。経年変化で色が濃くなっていくものだと思っていたのですが、色が抜けていくものもあるとは…。そんなところからも、木はやはり生きものであり個性があると言えますね。だからこそ使いたくなるし愛着がわいていくのかもしれない。
pioneer plantsの良さって、他にどんなところにあると思いますか?

近藤 : pioneer plantsのスタートはアカマツだったのですが、アカマツを使って家具にできたっていうことはすごく大きなポイント。シンプルなpioneer plantsだからこそ作れたっていうことがあると思います。
あとpioneer plantsに限らずですが、地域材を使っているということと樹種が選べるようになったということも。

関 : やっぱり家具としては軽いことじゃないでしょうか?デザインもシンプルなので、広葉樹のクリ・クルミも一般的なChairに比べたら軽いです。

ー作り手として、どんな風に使って欲しいですか?それぞれの気持ちを教えてください。

近藤 : 多少傷がついてもあまり気にせずに、どんどん使ってもらえたら嬉しいですね。大事にっていうよりは、どんどん使ってもらって自分だけのChairに育てていってもらえたら、本当に嬉しい。

関 : 僕自身が味があるものが大好きなので、作り手としても使い手としても“使い倒してほしい”という思いがあります。近藤さんと同じ思いです。
決して安くはないものだから、使いづらいということもあるかもしれないですが、その意識を持ちながら大事に大事にたくさん座って、味が深まっていくのを楽しんでもらえたら良いですね。
もちろん、自分の中で「こういう時にだけ使いたい」という特別感をつけてもらって、その価値観の中で使っていくっていうのも素敵ですよね。

洋子 : 私自身、イベントがある時にChairを持って行くんですけど、皆さんから素敵な椅子だねって声を掛けてもらえます。でもまだイベントでpioneer plantsを使っている人と出会える機会が少なくて。そういう突然の出会いが増えると嬉しいなと思います。「作ったんですよ〜」って声を掛けてみたい。

pioneer plantsは、Hyggeを楽しむ家具。
いつもそばに置いて、使いながら自分だけのChairに育てていく。

家の中でも、森の中でも、ひとりや家族、仲の良い友人たちと。
どんなときも「居心地がよく快適で陽気な気分であること」それがHygge。
私たちはHyggeをするための道具”pioneer plants”をつくっています。

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