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2024.12.18

“木は2度生きる”。伐採から製作まで社内で行ったケヤキの会議テーブル

伊那谷に本社がある企業の工場新設にあたって、数種類の家具を製作しました。そのひとつ、社内で伐採から製作まで行ったケヤキの会議テーブルについて紹介します。

ケヤキの伐採について

伊那市在住の個人の方から依頼を受け、敷地内のケヤキの木の伐採を行いました。
これまで成長を止めるためにご自身で木の手入れをされていましたが、大きくなりすぎたため倒木の心配があることに加え、落ち葉がたくさん落ちてくることに困っていると弊社にご相談いただきました。

18mのケヤキ。かなり大きいことに加えて、近くに住宅があることからそのまま伐り倒すことができないため、ロープを使って木に登り梢の部分から少しずつ伐っていく“特殊伐採”を行いました。木の上で作業する人と下でロープの調整をする人。ふたりでインカムを使って声をかけながら共に作業します。

この木は依頼主のご家族が60年~70年前に植えたものだといいます。ゆっくり慎重に作業し、3日間かけて伐採。伐採後の切り株には盛り塩がされており、大事にされてきた木だったことが伺えました。

ケヤキでつくる会議テーブル

伐採したケヤキを購入、製材所で製材していただき、会議テーブルの製作に使いました。

ケヤキは美しい木目と高級感のある艶、耐久性が魅力で、古くから高級木材の代表格として様々な建築物や家具の材料として使用されてきました。一方で木材の中でも非常に硬くて重く、狂いやあばれが起きやすいという特徴も持っています。

まずは、天板の製作。見た目の美しさと木の性質を考慮しながら木取りをした板と板をつなげる板はぎを行います。

板はぎが終わると、天板の表面を美しく仕上げるためのかんながけをします。
ケヤキは刃物が材に負けてしまうほど硬い性質のため、他の材を扱う際よりもこまめに刃物を研ぐ必要があります。さらに、節や木目から順目(ならいめ)を見極め、かんながけする方向をその都度判断しながら何度もかんなをかけていきます。

ケヤキならではの特徴に向き合いながら、丁寧にかんながけをして天板を3枚仕上げていきました。

テーブルの脚は、元の材を活かしきれるように大きめにしました。さらに2台のテーブルをつなげて並べた時、つないだ部分にも座れるよう考慮して脚の位置を工夫しています。

天板の周りの面取りも大きめに。通常よりも厚い材でしたが、シャープなフォルムによって重くならずスッキリとした雰囲気になりました。

テーブルの中央には電源用の穴を開け、会議でPCなど電気機器を使っていただきやすくしました。

ケヤキの伐採からテーブルの納品まで約8ヶ月。
耳(丸太の一番外側の樹皮がついていたデコボコしていた部分)の形を活かした自然なうねりが特徴の耳付きテーブル1台と、長方形のテーブル2台を仕上げました。

できあがったテーブルの写真を、ケヤキ伐採の依頼主にお見せしたところ「立派なテーブルになってケヤキも喜んでいそうですね」というご感想をいただきました。

伐採からテーブルの製作まで一貫して関わらせていただいたことで、まさに“木は二度生きる”を実感することができました。

<information>

・納品家具/会議テーブル
・樹種/ケヤキ
・木の産地/伊那市
・納品時期/2024年8月

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