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2025.09.04

建設地に生えていた木の個性を最大限活かす家具づくり|信州大学ARG共創研究センター様

信州大学アクア・リジェネレーション機構(ARG機構)は、2024年3月に設置された水の循環利用や水由来水素エネルギーの生成・利用など、水を中心とする地球環境再生に関わる信州大学を中心とした研究組織です。

2025年7月には、活動拠点として松本市の信州大学キャンパス内にARG共創研究センターが開所。
こちらの施設がオープンするにあたって、ソファやテーブル、ベンチ、パーテーションなど様々な家具を設計・製作しました。

家具の材料の8割は、新しい建物の建設予定地である信州大学松本キャンパスの敷地に生えていたヒマラヤスギとケヤキ。建設予定地に生えていたため、伐採されたものです。
「この木を余すところなく活かしたい」という地域の方や信州大学の皆さんの想いを大切に、木工職人が新たな命を吹き込みました。

ヒマラヤスギの製材/有賀製材所

ヒマラヤスギを使用した家具の多くは、木の表情や特徴を活かすために耳付き(樹皮をはいだままの形)で天板や座板に使用。ヒマラヤスギはやわらかい木材のため、強度が求められる構造部には金属を使用しました。
金属製の脚は、歴史と技術力のある株式会社ヨウホク様に依頼して今回のために特別に作っていただいています。

製作したもの中から、3つの家具についてご紹介します。

ふたり掛けのハイテーブル

ヒマラヤスギを使用。正円ではなく両側の耳を残したことで、シンプルながらも個性的な天板になりました。ヒマラヤスギを使った家具の天板や座板に共通しますが、木の力強い雰囲気を活かすために一度表面を平滑に整えてから荒く仕上げています。

カウンターテーブル

ヒマラヤスギで構成された天板と板脚には耳を残し、存在感を出しました。後部へは金属製の構造体を設け、強度と転倒安定性を高めています。

正面の鏡板には、大きな節がいくつも入った個性的な板材を使用。天板とつなぐため、鏡板の真ん中の2カ所に入れたL字型金具のネジの頭が程よいアクセントになりました。
また鏡板があることで作業中の手元が見えにくく、壁のない場所に設置しても人目を気にせずに作業をすることができます。

ヒマラヤスギを使用した他の家具に比べて、木の個性がより強く感じられるワイルドな雰囲気のカウンターテーブルになりました。

チェア

ケヤキとヒマラヤスギを使用して8脚ずつ16脚製作。
ヒマラヤスギを使用したチェアは、脚や座枠部分にはアカマツを使っています。

座面のクッションの厚さはカスタマーオーダー。通常よりも若干厚めの仕様で、硬すぎず柔らかすぎない程良い硬さになっています。
また、背もたれは身体にフィットする角度にし、軽作業をリラックスしてできるように設計しました。造形と全体の構造のシンプルさが特徴で、長い間座っても疲れません。

6人掛けテーブルとベンチ、スツール(ヒマラヤスギ)

長い間大学を見守っていたヒマラヤスギとケヤキが、それぞれの個性を最大限に活かした家具に生まれ変わりました。新しい施設に多くの人が訪れ、今後も様々な場面で活用されていくことを願っています。

<information>

・納品家具/6人掛けテーブル、2人掛けハイテーブル、ハイカウンター、ハイスツール、スツール、2人掛けベンチ、ラウンドテーブル、パーテーション(3種)、3人掛けソファ、1人掛けソファ、ローテーブル、チェア、シェルフ、pioneer plants(Chair)、DONGURI FURNITURE(Round Table)
・樹種/ヒマラヤスギ、ケヤキ、アカマツ、クリ、クルミ
・木の産地/ヒマラヤスギ・ケヤキ : 信州大学松本キャンパス内、その他樹種は伊那谷産
・納品時期/2025年5月
・所在地/松本市
・クライアント/信州大学ARG共創研究センター

パーテーション(ヒマラヤスギ)とソファ(クリ)
ローテーブル(クリ) 

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