上伊那農業高校 コミュニティデザイン科里山コースの2年生を対象に、「削り華でつくるコサージュづくり」の授業を行わせていただくことになりました。今回つくるコサージュは、卒業式の日に3年生へプレゼントされます。心温まる素敵な取り組みにお声がけいただき、とても嬉しかったです。
実はこの授業、昨年開催した‟全国削ろう会信州伊那大会”がきっかけとなって生まれました。(全国削ろう会信州伊那大会の様子はこちらの記事に少しだけ綴っています。)
今回は、‟地域材利用”や‟日本の手仕事の技”などの要素を組み込みながら、2回に分けて授業を行うことになりました。
先生と打ち合わせを進めていく中で、とある相談を持ち掛けられました。なんでも、「授業の中で生徒たちが伐った木を、どうにかして使えないか」とのこと。お話を伺うと、その木は小さなヒノキでした。通常のルートだと、薪材になってしまうような「使えない」と言われてしまう木です。
弊社代表の中村は、「木工職人の技があれば、どんな小さな木にも価値を付けることが出来る。」と、常日頃から言っています。小さい木でも、大きな木でも職人は価値を付けることができるのです。
これからの時代を担っていく上農生の生徒たちに木の可能性を知ってもらおうと、1回目の授業は「山で伐った木が家具になるまで」の流れを見てもらう事と、「鉋削りを行って、削り華の準備」を行うことになりました。
まずは、伊那市にある有賀製材所に集合。有賀さんのご厚意で、生徒たちが伐った木を特別に製材していただきました。製材する現場を初めて見るという生徒たち。
製材機のスイッチが入ると同時に工場内に響き渡る大きな音、ふわっと漂ってくるヒノキの香り。食い入るように製材の様子を見つめる生徒たちの姿が、とても印象的でした。
有賀真人社長は、「地域の中に小さな製材所があることの重要性」や、「少しの手間をかけてでも、地域の木を使うことの大切さ」について真剣な表情でお話してくださいました。
その後、やまとわ36OFFICEへ移動。製材をしたヒノキを家具にする為には、どういう工程が必要なのか、弊社代表の中村と職人の大場が説明をしました。
「まずは、この手押し鉋盤で直角を出してから、自動鉋盤で平行を出して、木を整形していきます。」
先ほどまでザラザラで不均一だった表面が、ツルツルになっていく過程をみて「すごい!」と歓声があがっていました。
次は、実際にヒノキを鉋で削る作業です。
今回は、樹齢400年の木曽ヒノキと樹齢250年の伊那のヒノキを使いました。
本来であれば、生徒たちが伐ってきた木を使えたら一番良かったのですが、‟削り華のコサージュ”に使えるような良い削り屑を出すのは非常に難しいので、使いませんでした。
(簡単なベンチやテーブルなどに使えるよう丸太を加工することはできたので、あとは学校で何かものづくりに活かせたらとのことでした。)
木の木目をじっと見つめる生徒たち。明らかに、年輪の細かさが違います。因みに、生徒たちが伐った木は樹齢約30年でした。
「ちゃんと手入れをした山で育った木は、とても質の良いものになります。この木曽ヒノキの値段はは、200万/㎥でした。」と中村が説明すると、えー!と歓声があがります。
(※生徒たちが伐ったヒノキは、凡そ1万円/㎥でした)
授業の最後で、「木に色んな方法で価値づけができる‟職人”という仕事。いい仕事だと思いませんか?」と中村が話していました。今回来てくれた生徒たちの中から、木に携わる仕事を選んでくれる人が1人でも増えてもらえると嬉しいです。
次回は、いよいよ削り華を実際につくる授業を行います。その様子も追ってシェアしたいと思います。