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2019.08.09

助手の森日誌 vol.17 「保科孫恵さんの山へ見学に行ってきました」

今日は、早川先生と一緒に見学をしたカラマツ林のお話をしたいと思います。

その山の持ち主は、保科孫恵さん。

保科さんは、KOA森林塾が発足した当初から講師として山仕事の技術の普及に尽力いただいている他、長野県の指導林家としても活躍された方です。また、農林大臣賞をはじめ林野庁長官表彰、県知事表彰などカラマツ林づくりの第一人者として数多くの賞を受賞されています。

保科さんの山は、ハンモックを吊り下げてお昼寝をしたくなるくらい居心地の良い山でした。

(5月に行ったので、青空の色と新芽コントラストがとてもきれいでした。)

この場所に生えているカラマツは、幹も太くて根もしっかり張っていました。

また、間伐がしっかりされているので風通しも良く、上を向くと木と木の間から空が見えます。

先人たちが次世代へつなげようと一生懸命植えてくださった木々。

ちゃんと手入れをしていれば、“荒廃している”と言われる人工林も、こんな風に立派に育ったのかな、居心地のいい山ができたのかなと、ふと思いなんだか少し切なくなりました。

カラマツの産地としても名高い長野県は、戦後復興期から高度経済成長にかけて、カラマツが大量に植えられました。

しかし、需要構造の変化や原木価格の低迷により、手入れ不足となってしまい、間伐されず過密で不健全な森が増えています。

そんな中、保科先生は、50年先の未来を見据えて山造りをされてきました。

「枯れ枝がない方が材の質が良くなるのではないか?」

「100年後に立派な木を残すためにはどうしたらいいんだろうか。」

毎日のように軽トラックで山に通っては、枝打ちの技法や森づくりに関して様々な研究をしていたそうです。

私から見るともう充分立派な木になっていると思うのですが、保科さんが見ると、まだまだもう少し育てたほうがいいとのこと。

「孫の代には、木を伐って売ることが出来るかな。」と笑って教えてくださいました。

保科さんは御年90才。山と共に生きている方です。

まだ見ぬ孫のために、50年以上に渡って約60町歩(東京ドーム約38個分)もある山を1人で管理をしてきました。

 

3世代にわたって受け継がれる、大切な大切な宝物。

この山は、保科先生の未来への思いが詰まった、とても温かく居心地のいい山でした。

「ここは、日本一のカラマツ山だと思います。」山を出る時に、早川先生がボソッとつぶやいていました。

 

参考文献 「先進流域視察研修報告書(長野県)」(釧路根室流域林業活性化協議会)
カラマツ人工林の長伐期大径材生産へ向けた疎植多間伐型施業に関する研究
(中島耕平・保科孫恵・植木達人)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfp/41/2/41_KJ00008024874/_pdf/-char/ja

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