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2023.05.30

可燃ごみとして処理される日本の生ごみ。仲間と楽しみながら資源にできるコンポスト座談会

昨年6月に行われた基本の木会議“生ごみコンポストワークショップ”。日本のごみについての現状を学び、生ごみを家庭で処理するための“コンポスター”を制作しました。

世界では、生ごみの分別資源化(堆肥化や飼料化)が進んでいるにもかかわらず、日本では生ごみのほとんどが可燃ごみとして処理されているのが現状です。生ごみの水分量は、重量の70~80%もあり処理に時間がかかることから燃料をたくさん使わなければならず、結果として二酸化炭素の排出も多くなります。(参考/コンポストとは

ふたり一組になってコンポストを制作

基本の木会議で制作したコンポストは、家で活用してみたいと手を挙げた8名のスタッフが持ち帰りました。
もみ殻、米ぬか、落ち葉、壁土を混ぜた床材を、生ごみと混ぜながらコンポストの中で堆肥化していきます。床材が終わり、コンポストがほぼ満杯になるタイミングが2~3カ月くらい。生ごみを回収して、空のコンポストと床材を持ち帰り、また運用します。

「コンポストを使うことで、可燃ごみとして処理されている生ごみを資源として生かせないか」

という思いのもと、スタートしたこの取り組み。
「持ち寄ったコンポストを見ながら、生ごみ堆肥のことや日々の運用などについて意見交換などしましょう」
小瀧さんの声かけで、堆肥を回収して床材を補充するタイミングで座談会を行ってきました。これまで運用してきた中で、工夫している点や感じたことについてアンケートのまとめとともに振り返ってみたいと思います。

コンポスト利用者のアンケートより

アンケート結果によると、8名のうち5名がこれまでコンポストを活用したことがありました。活用したことはあっても、新しくやまとわコンポストを活用することを決めた様子から続いていなかったことがうかがえます。

また、コンポストを活用する前の生ごみの処理方法としては、一部を畑に捨てていた人もいましたが、全員が燃やせるごみとして出していたことが分かりました。また、コンポストを活用し始めてから燃やせるごみの量の変化があったかどうか聞いたところ、8名中7名が大きく減ったと回答しています。

第1回コンポスト座談会/令和4年9月16日

多くの人のコンポストで発生したアリのような小さな黒い虫の正体は今も不明…

第1回座談会が行われたのは、9月16日。コンポストを作った6月上旬から約3ヶ月ちょっとの間は、湿度も気温高い季節でした。そのため、ショウジョウバエやアリのような小さな黒い虫がたくさん発生している堆肥が多く見られました。中には、アメリカミズアブが発生してしまった人も…(蓋を開けたら成虫が飛び立っていきました! )

アンケートより(抜粋)
◆初めてなのでとにかく「細かく刻んで乾かしたものを入れる」を徹底しました。動物性のものは入れませんでした。設置場所は雨の心配よりも日当たりを一番重視。キッチンからすぐ捨てられる位置。
◆とにかくショウジョウバエがかなり発生しました。コンポストの蓋を開ける前から気配が…日が当たって虫がつらそうな場所に移動してみたりしましたがあまり変わらなかった感じです。
◆雨が続いてコンポストの環境が悪化し、ベランダに虫が大発生した。ベランダは風通しが悪いため、コンポストの水分を調整することが難しいと痛感した。
◆虫が出る可能性が予想できていたため、以下に注意して運用したことで問題なく運用できた。
・生ごみは一晩乾燥させて、1日1回必ずボックスに入れる
・日当たりの良いところに設置
・雨が当たらない軒先に設置

参加したメンバーは「これで良いのだろうか?」と何かしらの不安を持ちながら運用していた模様。 ひとり暮らしだったり大家族だったり、一軒家なのかアパートなのか。コンポストを置く場所も異なりますが、ひとりひとりの悩み事や活用方法を知り意見交換しました。

第2回コンポスト座談会/令和4年11月21日

第1回の座談会から約2ヶ月経ち、第2回コンポスト座談会が行われました。
今回は、気温が低くなったことで虫の発生などのトラブルも少なく比較的運用しやすい季節。コンポストを使い始めてから約半年が経とうとしていることもあり、全員が慣れて来た様子でした。

アンケートより(抜粋)
◆コンポスト運用に最も適した季節のひとつ。普段通りの運用で問題なし。
◆慣れてきたのでそこまで細かくせず、動物性のものも入れ始めました。虫の発生はなく、季節的にもやりやすい良い時期でした。楽しくなってきた時期です。 設置場所は夏と同じ。
◆コンポストの含水率を上げないために、次のような工夫をした。
・調理をするとき、生ゴミ(野菜の皮など)をなるべく濡らさないようにした。
・生ゴミは経木を敷いたザルに入れ、1日〜乾燥させた。
・床材をこまめに投入した。
・雨を避けるためコンポストに透明の波板を掛けた。

「生ごみをコンポストに入れることで可燃ごみが減って、コンポストがあることがありがたいなと思う」そんな声もありました。前回と比べると季節的に運用しやすい時期。悩みは減りましたが、定期的に意見交換することで他のメンバーのコンポストの様子を知ることができ、より楽しく感じます。

第3回コンポスト座談会/令和5年3月2日

第3回のコンポスト座談会は、雪や床材の準備の都合で3ヶ月以上間が空きました。氷点下になる日も多い伊那谷の冬。生ごみが凍ってしまい、なかなか分解が進まずカサも減りにくい時期でしたが、メンバーそれぞれがこれまでの経験からできる工夫をしていました。

また今回はコンポストを活用してきて生活にどのような変化があったかや、さらにデザインをどういうものにしていったらよいかなどについても意見が出ました。中には、住んでいる村で企画した「わが家のエコ活動」にコンポストを活用していることについてまとめて応募し、商品券をもらったというスタッフも。

アンケートより(抜粋)
◆気温が低く分解が進まないため、晴れた日は蓋を開けて日光を当てた。また、日々苦なく続けられる程度に、生ゴミを細かくしてから投入した。
◆冬は日光が期待できなので、勝手口裏から直射日光が当たる場所にコンポストを移動させた。
◆気温が低くなって分解が遅くなってすぐに溜まっていくのを感じました。これまで以上に乾かして入れることを意識しましたが、中が凍ることもしばしば。 2月末〜は気温も高くなって目に見えてかさが減り、嬉しかったです。

同じコンポストだから感じる連帯感と座談会の楽しさ

これまで、約10ヶ月にわたって8名で同じコンポストを活用し座談会を行ってきました。他のコンポストを使って生ごみをたい肥化することはできますが、この取り組みの良さはどんなところにあるのでしょうか。アンケートを見てみましょう。

アンケートより(抜粋)
◆同じコンポストを使用しているので、困りごとや改善方法を即時共有・実践できるのが良い。
◆自分だけでやっていると自分だけのルールが出来てきて、他の方の話を聞いてそうかと思う事があります。 他の人が工夫している事や苦労している事を聞いてお互いに解決策が出てきて良いなと思います。
◆一緒に取り組んでる連帯感で、それぞれ自宅でやってるにも関わらず、連帯感がうまれてコンポストトークも面白かった。
◆同じコンポストを使って定期的に座談会で語り合い、床材の補充でリセットできるこのスタイルがとにかく楽しいです。

さらに今後について様々な意見が出ました。

アンケートより(抜粋)
◆オシャレ感のある小さなコンポストも良いなと思います。
◆早く自分達のコンポストからつくった堆肥を使って野菜作りをしてみたい。
◆処理量や回収頻度の最適化 家族構成や住環境に応じて選択できる仕組みをつくりたい。
コンポストの設置場所 住環境や生活様式、性格に応じて選択できるよう複数のコンポスターをつくりたい。
◆やまとわのゴミの出し方が今ひとつ分別されていない。コンポストの取り組みをきっかけに社員の意識向上につながれば良いと思う。

生ごみを資源にする

日本ではその多くが可燃ごみとして処理され、二酸化炭素の排出も多くなってしまう生ごみ。“使えないもの”とされていた生ごみがコンポストを活用することによって堆肥になり、農業や家庭菜園、林業など幅広く使える“資源”となります。

またコンポストを活用する中で、生ごみだけでなく暮らしや仕事の中で出てくる他のごみについても意識が向いたことも大きな収穫でした。

今後も座談会で意見交換をしながら、コンポストを活用する取り組みを続けていきたいと思います。

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